こんにちは、
コントラバス奏者の甲斐澤 俊昭です。
今回は、
「レッスンで一番大事にしたいと思っている事」
についてお話ししておきたいと思います。
私のレッスンに興味を持ってくださっている方、
これからレッスンに来てくださる方に、
ぜひ参考になさっていただければと思います。
本題に入る前に、現在の私自身の
楽器との関わり方についてお話しします。
定年でプロオケを引退してしばらくが経ちますが、
実は私は今が一番、
コントラバスを弾くことが楽しいです!
理由は簡単です、弾きたい曲を弾きたい時に、
弾きたいように弾けるからです。
オケに所属していた時も
楽しく充実した日々を送ってはいましたが、
やはりどうしても、
今ほど自由なものではありませんでした。
プロオケを引退する事によって、
ようやくファミリーの皆さま方と同じ目線で、
音楽やコントラバスと関われるようになった、
とも言えます。
このことをもっと突き詰めて、
私の最も大切にしている本、
エックハルト・トールの「ニューアース」
の中に出てくる
「内なる目的と外部的な目的」
という概念に沿って考えてみたいと思います。
プロオケに在籍していた頃の私は、
とにかく仕事ですから、
・リハーサル開始までに
完璧に弾けなければいけない
・他人より上手く弾いてみせたい
・いつかは名手と呼ばれるようになりたい
といったような、
「外部的な目的」に向かって努力してました。
しかしこの目的は、
いつになっても決して達成されるものではない。
「完璧」というのは追究してもきりがないですし、
世の中上手く弾く人はいくらでもいるからです。
「外部的な目的」はその性質上、
いつまでも達成不能なものになりやすいのです。
これに対して「内なる目的」というのは、
私自身は、個人練習でもリハーサルでも本番でも、
いつでも達成しています。
なぜかといえば、
私にとってのその「内なる目的」とは、
「右手が弓を通して弦に噛み合った感覚や、
左手が弦を押さえて伝わってくる感覚を味わい、
その結果発生する響きを身体全体で感じること」
だからです。
楽器を弾いているそれぞれの瞬間に目的を達成し、
完結してる訳ですから、
いつも楽しいし情熱的でいられます。
今の私にとっては、毎日が、ほぼその
「内なる目的」達成のためにあるようなものです。
この記事を書いている頃に、
2018年冬季オリンピックが開催されていました。
フィギュアスケートの羽生選手、
スピードスケートの小平選手たちは、
「スケート靴の歯を通して伝わる
氷との接点を味わう」
ということを、
桁外れに高いレベルで感じ取ってるように
私には見えました。
もう、ほとんどそれだけで、あとの目に見えている
ジャンプだとか華やかなことは、表面的なこと。
コントラバスを弾くことについて
私が最も伝えたいのは実はこれと似たような事で、
「その瞬間瞬間に弦の振動を味わい、
もの言う音そのものを発声することの大切さ」
です。
決して、アカデミックな知識のようなものだけでは
ないのです。
私が尊敬する恩師であるN響元首席の中氏、
ベルリンフィル元首席のツェパリッツ氏、
ウィーンフィル元首席のクロイトラー氏、
この三氏に、
私は直接的な関わりを持たせていただき、
非常に影響を受けてきました。
三氏共に、
圧倒的な存在感のある音をお持ちである、
ということで共通していました。
今になってみれば、
こういった方々と関わってきた事によって、
今の私の「内なる目標」の核として
「いかにして、
コントラバスで存在感のある音を出すか」
があるのだろうなと思います。
私のもとにレッスンに来ていただく方には、
コントラバスで存在感のある音を出すための、
立ち方、重心の感じ方、ハラの感じ方、
肩の状態、肘の状態、手首の状態、
右手と弓の接点の状態、呼吸、…
そういった事を、
常に意識できるようになっていただきたい。
そんな風に思っています。
もちろん、
曲に関するアドバイスも沢山ご提供しますし、
ご要望に応じて様々な観点からお教えしますが、
私が伝えたい事の土台にあるものついて、
お互いに共通認識を持っていただけていましたら、
レッスンがより有意義なものになると思うのです。
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