2019年 リサイタルの動画公開

こちらのページでは、
2019年11月14日(木)に東京で開催された
バス歌手 渡部 智也さんとの共同リサイタル
Double Bass Concertでの甲斐澤の演奏を、
プログラムノートと共にご紹介しています。

開催経緯等については、
ぜひこちらのページもご覧ください。

ラバト「ヴェネツィアの叫び」

ラバトはパリを拠点として活躍する
コントラバス奏者です。

生まれはシリア北部のアレッポ。

シリアという国は地図を見ると、
中東のトルコ、イラク、ヨルダン等に囲まれ、
ちょうどヨーロッパ、アジア、アフリカの
つなぎ目のような所に位置します。

そのせいか、ラバトの音楽には
どこか私達がイメージするイスラム教的な
ムードが含まれている感じがします。

この、ヴェネチアの叫び(Le cri de Venise)は、
ラバト自身の演奏により発売されたCD
「イン・ア・センチメンタル・ムード」の
一曲目に収録されてました。

その時のタイトルは「叫び(Le cri)」
となっており、後に楽譜が出版された時に
何故か「ヴェネチアの」が加えられています。

このCDには、「叫び」の後に
ジャズのスタンダード曲が19曲入っていて、
今までに何回聴いたかわからないほどです。

抜群の歌心で
鼻歌まじりのようなリラックスする音楽で、
極上の癒しの時を味わえます。

さて、この「叫び」を
いつかは演奏したいと思っていましたが、
ずっと楽譜はなくあきらめてました。

が、今年の春ごろに
最近出版された事を知りすぐに購入し、
今回の演奏に到りました。

ベリオ「Psy」

ベリオ(1925-2003)はイタリアの
現代音楽の作曲家です。

この曲は1989年に作曲となっています。

タイトルの「Psy」については
私の手元にはデータがありません。

ですからあくまでも、
私の推測になってしまいます。

「Psy」は英語の
psychedelic(サイケデリック)や
psychology(サイコロジー)の
最初の三文字で、
「サイ」と発音すると思われます。

そういった言葉から、
どちらかというと不安定な心の状態を
連想する音楽と、私は捉えています。

調性的にもト短調という、
モーツァルト の25番のシンフォニーを思わせる、
とても短い(2分15秒)疾風怒濤の音楽です。

ラバト コントラバス協奏曲第3番

この曲も、やはりラバト自身のCD
「カルメン」の最後に入っていました。

最初に聴いた時、
ピアノのつん裂くような打撃音で始まり、
コントラバスソロは最低音のE開放弦で開始し、
曲の終わりもEで終わり、
なんて潔い曲!と思いました。

楽譜は出版されてましたが、
肝心の曲の中間部にある即興的な部分が
コードネームしか記載されておらず、
こりゃダメだとと思ってました。

ところが、
最近出版された楽譜にはその部分もきっちり
記載されているじゃありませんか!

本来は即興ですから、
ラバト自身の演奏とは異なってますが
これなら私でも演奏できる、と喜び
今回の演奏に到りました。

全体は5つのパートに分かれますが、
2つのピアノの間奏を挟む
単一楽章の15分ほどの曲です。

ラバト「プッヒャ ダス」

無伴奏曲です。

この曲を初めて聴いた時、
いったいなんの楽器の音だろうと思いました。

音源はラバト自身による演奏は
何種類かありますが、
それぞれがアドリブなようで毎回違います。

楽譜も出ていますが、
彼自身の演奏とはかなり違います。

この音楽は中東というより、
インドというイメージが強くなります。

インドの楽器シタールを
模倣しているとも思われます。

実際、YouTubeには
ラバトとインドのタブラの名手との
この曲のコラボ演奏を見ることがてきます。

メリーウィドウより ワルツ

有名なオペレッタの中で歌われる曲です。

東京フィルの団員時代には、
オペラガラコンサートや歌手のリサイタルで
何度も伴奏しました。

今回はチェロソロ用にアレンジされた譜面を
1オクターブ上げて演奏しています。

ですので、チェロと同じ音高になります。

曲の終わりの方でメインテーマに戻った時に、
思い切りピアニッシモで弾き、
効果を狙っています。

マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」

これも団員時代に
数え切れないほど頻繁に演奏しました。

といっても、本来はオルガンが入るので、
コントラバスは全休。

でも、オケでこの間奏曲だけ
演奏時はアレンジで最低音を担当します。

今回の演奏では、
コントラバスソロ用にアレンジされた譜面を
一オクターブ上げて演奏しました。

この曲の練習には
あまり時間をかけませんでしたが、
長年にわたりこの音楽に触れていたからか、
イメージだけははっきり持っている
と思いました。