こちらのページでは、
2015年10月25日(日)に横浜で開催された
かいざわBassFamily コントラバス独奏演奏会
の様子をご紹介しています。
【前半】参加者による独奏演奏
- ヴィヴァルディ ソナタ第1番(演奏:竹村 雅彦さん)
- ラフマニノフ「ヴォカリーズ」(演奏:益本 和代さん)
- クーセヴィツキー「悲しみの歌 & ユモレスク」(演奏:T.Kさん)
- チャイコフスキー「レンスキーのアリア」(演奏:竹内 由起子さん)
- ボッテジーニ コントラバス協奏曲第2番(全楽章)(演奏:加地 俊幸さん)
- 2つのシャンソン「夕べの歌・朝の歌」(演奏:江川 直子さん)
- クライスラー「シンコペーション」(演奏:江川 直子さん)
【後半】甲斐澤俊昭によるミニリサイタル
以下、動画の公開を許可いただいた方のみ
掲載しています。
次回の演奏会の出演者も広く募集中です。
詳細はこちらをご覧ください。
ヴィヴァルディ ソナタ第1番(全楽章)(竹村さん)
竹村さんコメント
初めて、全楽章に挑戦した曲。
私から志願して、
トップバッターで出させていただいた
発表会でもあります。
前の人の演奏を聴きながら、
出番を待つ緊張感からは開放され、
リラックスして演奏出来たと思います。
甲斐澤コメント
技巧的にかなり難しい2楽章の
16分音譜が連続して流れるようような音楽が、
特に安定していて素晴らしいと思います。
やはりお仕事柄でしょうか、
(VIP専用車ドライバー)
スムーズにドライブされています。
4楽章も同様に、ピアノ伴奏とも
テンポ感のしっかり噛み合った
演奏になっています。
この会の発表会のトップバッターで、
その味を占められたようです(笑)
ラフマニノフ「ヴォカリーズ」(益本さん)
益本さんコメント
毎年どなたかが演奏されるので
3年越しのトライでした。
遅い曲なので甘くみていましたが、
とても難しかったです。
もっと唄えるとよかったかなと思います。
甲斐澤コメント
数多のアマチュアオーケストラから引っ張りだこの
益本さんは、5弦の楽器をお持ちです。
この発表会でも、ご覧の通り5弦にソロ弦を張り、
ソロチューニングでの演奏です。
この曲の息の長いフレーズを弾くためには、
右手の柔軟性と弓の当たる位置、
そして選び抜かれたフィンガリングと
シフティングの速度が大切だと思います。
益本さんはこの事を
よく理解して弾いているのがわかります。
見事な演奏です。
クーセヴィツキー「悲しみの歌 & ユモレスク」(T.Kさん)
T.Kさんコメント
前年に引き続き、クーセヴィツキーの小品です。
自分の場合は、どうしても、
音符や技術を追うのに精一杯で、
演奏が機械的になってしまいます。
先生からは、
曲の特徴を読み解くことの大切さを教わりました。
悲しみの歌は、酒場で酔っ払いが
一人で呑みながら管を巻いている様子、
ユーモレスクは、曲名のように
動きのあるユーモラスな様子、
などの具体的なイメージを先生から提示されて、
ストーリーを意識して演奏するようになりました。
酔っ払いが管を巻いている様子、
という解釈が面白くてインパクトがあって、
この曲を弾く時はいつも思い出します。
甲斐澤コメント
悲しみの歌では曲の性格上どうしても
大袈裟なくらいのヴィブラートを駆使して
濃厚な味付けが欲しくなるところです。
ここでもKさんはハッタリをかまさず、
素材の味だけで勝負しています。
素材の味を守るためには
奏法の基本を守ることが必須となります。
Kさんはそれを忠実に守っているので、
たとえどんなにプレッシャーがあるとしても、
決して音色が潰れません。
あらためて、こちらが
基本の大切さを再確認させてもらっています。
チャイコフスキー「レンスキーのアリア」(竹内さん)
竹内さんコメント
今回はもっと難しいソナタに挑戦するつもり
だったのを途中で挫折してしまい、
選び直したのがこの曲でした。
苦手な速いパッセージや重音は全くありませんが、
歌を表現するという点において、
とても勉強になりました。
私は歌も歌うのですが、いくら好きな曲でも
男声のテノールのアリアを歌うわけにはいかず…
コントラバスで演奏できて嬉しかったです。
いつも自分の事で精一杯で、
伴奏を聴くどころではないのですが、この時初めて
ピアノと会話できたような気がします。
思い出に残る1曲です。
甲斐澤コメント
平行して声楽を勉強している
竹内さんならではの選曲ですね。
チャイコフスキーの特徴的な下降音形が
印象的なこのアリア、
歌詞のロシア語の発音にまでこだわって
練習を重ねました。
暗譜で弾かれていることもあり、
視線が下に落ちず体勢が自由なので、
全身で歌ってるのがよく伝わっています。
ボッテジーニ コントラバス協奏曲第2番(全楽章)(加地さん)
加地さんコメント
ボッテジーニの曲の中で、
間違いなく最も有名な曲の1つです。
コントラバスならではの音色が生きる、
味わい深い旋律が随所に出てくる名曲です。
私個人にとっては、
昔、大学オーケストラの卒業時に取り組んだ
とても思い出深い曲でした。
8年経った今、昔とは違った視点から
この曲の魅力を再発見できました。
少し前に馴染みの楽器店の店長に頼み込んで
指板をお洒落な感じに延長してもらったのですが、
曲中に2箇所ほど出てくる上のFisの音で
早速使うことができて嬉しかったです(笑)
甲斐澤コメント
加地さんは、新曲の初回のレッスン時から
毎回必ず暗譜で来ます。
多忙な日常でも、頭の中に楽器と楽譜を常備して、
空き時間にイメージで練習してるのでしょう。
それに加えて、長いリーチと理数系の頭脳
(倍音の理論が直感的にお解りとのこと)は、
ボッテジーニの様な名人芸的なパフォーマンスには
理想的と言えましょう。
2つのシャンソン「夕べの歌・朝の歌」(江川さん)
江川さんコメント
この年は、元ロンドン交響楽団首席の
トーマス・マーティン氏のレッスンを
受ける機会を得たこともあり、
イギリスの曲を選びました。
もとはヴァイオリンの曲なので、
コントラバスで弾くと
かなり印象も変わってしまいますが、
表情豊かなヴィヴラートと、
優しい音色にチャレンジしてみました。
甲斐澤コメント
エルガーと江川さんの人柄を思わせる、
大変ジェントルな音楽と演奏です。
特に一曲目はゆっくりな弓の使い方が
ぴったりとはまっていて、
コントラバスとしてはこれ以上ないと
思えるくらいのマイルドな表現になっています。
クライスラー「シンコペーション」(江川さん)
江川さんコメント
前曲と同じくヴァイオリン曲ですが、
コントラバスらしく音域を広げてみました。
軽快で、楽しい表現を目指しました。
甲斐澤コメント
クライスラーらしい、
明るいウィーンの香りがするような、
とてもチャーミングな演奏になっている
と思います。
息のあったお二人の演奏は
衣装と共に爽やかで印象的です。
シューベルト アルペジオーネソナタ(第1楽章)(甲斐澤)
甲斐澤コメント
コントラバスでアルペジオーネソナタを弾く場合、
g-mollで書かれた譜面をソロチューニングで弾き、
結果的に原曲通りのa-mollになります。
でも、この演奏ではオーケストラチューニングの
ままなのでg-mollです。
ゲーンズ「スケルツォ」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
コントラバスソロの開拓者ゲーリー・カーが
十八番とした曲です。
一見難しそうに見えますが、
オケのコントラバス弾きとして必須科目の
スピッカートを多用してるので、
見た目ほど難しくないお得な曲です。
ティボール「序奏、主題と変奏曲」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
この曲は恩師の中博昭先生の演奏で知りました。
大変に素晴らしい演奏だったこともあり、
20年ほど前のことですが、
昨日のことのように記憶しています。
ハンガリーの作曲家の作品ですが、
どことなく日本の童謡に通じる気配を持った、
懐かしさを感じさせる曲です。
さとうきび畑(甲斐澤)
甲斐澤コメント
大好きな森山良子さんの曲です。
彼女の歌は本当に何度聴いても泣けます。
コントラバスでもその表現を目指しました。
「初恋」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
40年ほど前に、私がオケに入ってすぐの頃、
既におじいさんだった往年の名歌手
奥田良三さんの歌で痛く感動した曲です。
小柄でチャーミングなおじいさんが、
しみじみと想いを込めて歌うのが、
実に感動的でした。
アンドレ・ギャニオン「明日」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
テレビドラマの最後に平原綾香さんが歌った曲です。
彼女の歌で聴くと、
マイクが近いせいか生々しい息遣いも
1つの味付けの効果になってる感じがします。
コントラバスでその感じを出すのを狙いましたが、
なかなか難しいですね。
我が母の教えたまいし歌(甲斐澤)
甲斐澤コメント
ドヴォルザークのこの曲、
原曲の歌詞に何故か感動してしまうんですよね。
老いた母が歌を教えてくれた時
時々涙を浮かべていた
今 ジプシーの子らに歌を教えながら
私の褐色の肌にも涙がこぼれ落ちる
井上 陽水「少年時代」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
今回、発表会で初共演のピアニストの丹生谷さんの
「いつまでも少年のような甲斐澤先生に合う曲」
とのおだてに乗って弾いてしまった曲。
有名曲なのでしょうが、
実は私はよく知らない曲でした(^^;)
次回の独奏演奏会の出演者も広く募集中です。
詳しくは以下のページをご覧ください。