こちらのページでは、
2016年10月23日(日)に横浜で開催された
かいざわBassFamily コントラバス独奏演奏会
の様子をご紹介しています。
【演奏曲目】
以下、動画の公開を許可いただいた方のみ
掲載しています。
次回の演奏会の出演者も広く募集中です。
詳細はこちらをご覧ください。
ヴィヴァルディ ソナタ第5番(第1,2楽章) (竹村さん)
竹村さんコメント
中学時代に、ピエール・フルニエ(チェロ 奏者)
のレコードを聴いて、一目惚れした曲。
今回、第1,2楽章だけでしたが、
いつかは全楽章挑戦したい曲です。
6曲のソナタの中で、最も好きな曲です。
甲斐澤コメント
中学時代から馴染んでいた曲と聞き、
なるほどなと思いました。
長い時間をかけて発酵した歌の深さが、
特に第1楽章に感じられます。
第2楽章も安定したテンポ感の中に
彫りの深さが付け加えられた演奏に
なっていると思います。
ヴィヴァルディの音楽が、竹村さんの中で
血肉化されていつつあるんだなあ、と感じます。
動物の謝肉祭より「象」(麻生さん)
麻生さんコメント
ソロを弾くのは初めての経験で、
とても緊張しました。
「象」は短い曲ですが、
その中で冒頭・中間部・終盤を弾き分け、
特に中間部では歌うように弾くことに
難しさを感じました。
この曲は、私にとって初めてソロを弾いた
思い出に残る曲になると思います。
レッスンで丁寧に教えて下さった甲斐澤先生、
ピアノ伴奏で支えて下さった先生、
共演者の皆様方、
どうもありがとうございました。
甲斐澤コメント
サン=サーンスの「象」は
入門者向けの易しい曲に思われがちですが、
全然そんなことはありません。
シンプルな曲の中に、
コントラバス弾きにとっての「試金石」
と言えるような難しさが潜んでいます。
麻生さんは冒頭の低い音域から始まる
重くなりがちなテーマを大変歯切れの良い
弓使いで、若々しい象を表現しています。
音程が難しく、運指の可能性のいく通りもある
中間部も手堅く弾ききっています。
初めてのソロとは思えない
颯爽たる演奏になっていると思います。
エクレス ソナタ(全楽章) (小作さん)
小作さんコメント
エックレスのソナタは
学生時代に自己流で弾いていた曲で、
いつかは人前で弾きたいと思っていました。
先生の指導は丁寧でわかりやすく、
レッスンを繰り返していくうちに
少しずつ形になって行くのがわかるので
期待を持って発表会を迎え、
リハーサル、本番とかなり緊張しましたが
ピアノ伴奏の先生に助けられながら
弾ききることができました。
ソロを弾くのは初めてだったので
機会をくれた皆様に大変感謝しております。
甲斐澤コメント
小作さんは、もともとは私の生徒さんではなく、
この発表会のために参加された方です。
私のところには数少ないレッスンで
本番に臨みましたが、初回のレッスンから
曲のイメージはかなり出来上がっていました。
以前についていた先生の指導や
小作さんのセンスが良いのでしょう。
録音では伝わりきれないところもありますが、
コントラバスにとても適した
骨太の音質と音楽性をお持ちと思います。
今後はどのような曲で、
その持ち味を生かされるかが楽しみです。
ピアソラ「キーチョ」(竹内さん)
竹内さんコメント
ずーっと前に楽譜を買って、
いつかは弾きたいと思っていた憧れのこの曲に
やっと挑戦する勇気が出ました。
毎年毎年、結果に満足するという事は無いし、
これからもきっと無いと思うのですが、
今回はとにかく練習が楽しかった~!
1年間、大事に温めて発表会に臨むので、
好きな曲を選ぶという事が大事なポイントです。
好きな曲は、いつかもう少し上手くなったら
また弾きたいと思ってしまいます。
この曲もいつかまた弾いているかも…
甲斐澤コメント
竹内さんの渾身のキーチョ、迫力の演奏です。
曲を真っ向から直球勝負で取り組んでいます。
中間部の歌う部分では
表現の仕方に試行錯誤しましたが、
只今研究中のヴィブラートを敢えて控え、
右手だけで歌うことにチャレンジしています。
コントラバス弾きとしては小柄で手も小さい、
という不利な条件を乗り越え挑む彼女の演奏には、
人の胸を打つパワーがあります。
ラテンメドレー(益本さん)
益本さんコメント
オチたり、フライングしたり、
大事故が2回もあって、
指は冷や汗で滑っていました^_^;
でも弾いていて楽しかったです。
この選曲は自分に合っていると思いました。
甲斐澤コメント
おっしゃる通り、
ご自分の持ち味を生かした選曲です。
また、曲のキャラクターに合った
天性のものとも思われるリズム感と
センスの良さを感じます。
魅惑のパフォーマンスと言えましょう。
一曲目の伴奏だけになる部分で見せる
スマイルにもご注目です。
グリエール「インテルメッツォ」(T.Kさん)
T,Kさんコメント
ソロチューニングでの初めての演奏です。
最初はどんな感じなのか不安でしたが、
弾いてみると感触が良く、
ちょっと力も抜けたような気がします。
この曲も
音程を取るのが難しい箇所がいくつもあり、
レッスンでは先生が
ピアノを同時に弾いて音を取りながら
丁寧に教えていただきました。
本番に向けて暗譜で演奏するに際しては、
拍子が怪しくなってしまう箇所がありましたが、
先生から大丈夫、できると言われて
暗譜のままで演奏しました。
ピアノの先生にもフォローしていただきながら、
なんとか乗り越えた感じです…。
自分の中できちんとカウントを刻みながら
演奏することの大切さ、難しさを
改めて認識しました。
ゆったり深々とした心地よい曲で、
練習している時には折々弾きたくなります。
甲斐澤コメント
一流のソリストが
リサイタルで弾く頻度が高い難曲です。
この曲の場合、ピアノ伴奏が単なる伴奏と違い、
掛け合いのようなアンサンブルになっている箇所が
たくさんあります。
Kさんは、そのことに直前まで
苦労していたようですが、本番までには解決し、
みごとに噛み合っています。
その上、息の深い間をとり、
Kさんの内面を表現するような
静謐で清らかな演奏になっていると思います。
ボッテジーニ グランデュオ コンチェルタンテ(富田さん・加地さん)
加地さんコメント
ヴァイオリンとコントラバスという、
なかなか珍しい組み合わせによるデュエットです。
この曲は、「コントラバスのパガニーニ」
と呼ばれたボッテジーニによって作曲され、
さらにパガニーニの弟子のヴァイオリニストに
編曲されることによって成立しました。
パガニーニがらみであるだけに、
非常に技巧的で華やかな曲となっています。
随所に出てくる優美な歌のようなメロディや、
場面がどんどん移り変わっていく様子は、
まるでオペラを観ているように楽しめます。
学生時代から弾きたいと思っていたこの曲、
奇しくも婚約者とこの場で弾けることになり、
とても幸せでした。
甲斐澤コメント
まさに絵になる演奏です。
加地さんはこれまで、どちらかと言えば
曲のテクニカルな面に焦点が合った演奏でしたが、
今回は歌う部分もたっぷり歌った演奏に
なってると思います。
それも、美しい生涯の伴侶を得て、
そのご本人との共演ですから、甘く歌う
音色になるのも当然といえば当然でしょう。
フラジオレットを多用した分散和音も
弓の当たる位置と分量が適切なので、
とても完成度が高いです。圧巻です。
シューベルト アルペジオーネソナタ(全楽章)(甲斐澤)
甲斐澤コメント
昨年の発表会では1楽章のみでしたが、
今回は全曲に挑戦しました。
やはりこの曲は全曲通さないと完結しません。
曲全体を通して、私は自分なりの
ストーリーを持って演奏しています。
第3楽章では、
ほとんど同じフレーズが3回繰り返されますが、
その度に微妙にニュアンスが変化していきます。
3回目には、
生命あるうちにはなかなか踏み入れられない様な
領域に達しているような、
シューベルトならではの怖い音楽を想います。
ところで、今回は暗譜で弾いています。
曲が素晴らしいので大半は
練習しているうちに自然に頭に入っていました。
ただ、1楽章と3楽章にピアノがメロディを弾き、
コントラバスがピッチカートで伴奏する
箇所があり、この箇所だけはなかなか頭に入らず
苦心して意識的に憶えました。
(特に3楽章のものが長くて…)
YouTubeに、あのヨーヨーマさんが
若い頃にサントリーホールで
同曲を弾いている映像があります。
彼は最初から暗譜で弾いてるのに、
なぜか譜面台が立ってます。
例のピッチカートの箇所だけのために、
譜面を用意してたのでした!
横目ですが、明らかに見てます。
これを見て、
私は思わずニンマリしてしまいました(笑)
パラディス「シシリエンヌ」(甲斐澤)
甲斐澤コメント
名ヴァイオリニスト、イブリーギトリスの
小品集のCDで知った曲です。
そのCDは何度聴いたかわからない程聴きました。
まるで、古き良き時代から現代に差し込んでくる
残光のような音楽に毎回魅了されました。
ただ、今回の私の演奏では
ピッチに不安があったり余裕がなかったりで、
まず魅了はされません(笑)
ですが、奏者が年齢を重ねるごとに
味わいが増すだろうと思われる、
とてもチャーミングな曲(作曲者は女性です)
なので、今後も弾き続けたい曲の1つです。
次回の独奏演奏会の出演者も広く募集中です。
詳しくは以下のページをご覧ください。